2026/10/21
フランチャイズ本部組織立ち上げの実例|夜パフェ/バー「&VIGO」に学ぶ、健全な急拡大を支える本部づくり
フランチャイズ本部は「今の店舗数」ではなく「100店舗の姿」から組織を組む
フランチャイズ本部の立ち上げで成否を分けるのは、店舗数が少ない段階から「拡大後も回る組織」を用意できているかどうかです。社長1人と社員1人で加盟開発もSVも店舗開発も兼ねる本部は珍しくありませんが、その体制のままでは100店舗をどう支えるかが描けません。
本記事では、YouTubeチャンネル「フランチャイズど真ん中」の本部組織解説シリーズ第1回で取り上げたパフェバー「&VIGO(アンドビーゴ)」の実例を紹介します。&VIGOは出店ベースで18店舗、加盟契約ベースで34店舗まで拡大しながら、6つの本部機能を6名で分担しています。
この記事でわかること:
- 18店舗の段階で整えた&VIGOの本部組織(6機能・6名)の中身
- 加盟開発を社長自らが担う理由と、SVを「オーナー向け」と「スタッフ向け」に分ける考え方
- 性格や適性に合わせた役割分担が拡大を後押しする理由
- 100店舗に向けて、どこを増員すれば組織が拡張できるか
事例:パフェバー「&VIGO」と株式会社CARTON
&VIGOは、食事やお酒のあとに大人の女性がパフェで一日を締めくくる、というコンセプトのパフェバーです。運営する株式会社CARTON(代表取締役 櫻井航氏)は、2025年4月に加盟募集を本格化し、動画収録時点で出店18店舗・加盟契約34店舗まで広がっています。
| 時期 | 出来事 |
| 2026年10月 | 出店18店舗、加盟契約34店舗(動画収録時点) |
| 2025年4月 | フランチャイズの加盟募集を本格スタート |
| 2023年 | グループ会社をCARTONに統合し、ブランドを&VIGOに一本化へ |
| 2022年6月 | 初のFC店舗として蔵前店がオープン |
| 2021年10月 | スパニッシュバル「VIGO」を夜パフェ専門店に業態転換 |
| 2018〜2021年 | 櫻井氏が27歳で独立し、約4年で10店舗・9業態を直営で出店 |
動画では、&VIGOが流行に乗って立ち上げた本部ではなく、長年の飲食経営で成功も苦労も重ねたうえで生まれた業態である点が、本部サポートの厚みにつながっていると語られています。
全体像:6つの本部機能を6名で分担
FC本部には、業種を問わず「加盟開発」「店舗開発」「SV」「バックオフィス」の4機能が必要です。&VIGOはこれに「セントラルキッチン」と「商品開発」を加えた6機能を、6名の体制で回しています。
| 本部機能 | 担当 | 主な役割 |
| 加盟開発 | 櫻井社長 | 加盟希望者への説明と、ブランドにふさわしいオーナーの見極め |
| 店舗開発 | 櫻井社長(兼務)+カナ氏が補佐 | 物件選定、内装業者との打ち合わせや段取りのディレクション |
| SV | 渡部副社長が統括、女性SV2名が各9店舗を担当 | 加盟オーナーの経営支援と、店舗スタッフの運営支援 |
| バックオフィス | カンナ氏 | 管理業務全般に加え、研修も担当 |
| セントラルキッチン | カンナ氏(管理)+相澤氏(現場) | パフェ素材の一括製造と品質管理 |
| 商品開発 | パティシエ 相澤氏 | 毎月の新メニュー開発、作り方のレクチャー動画の制作・共有 |
注目すべきは、一人が複数の機能を受け持ちながらも、機能ごとの責任者がはっきり決まっている点です。誰が何を担うかが明確なので、拡大時に「どこに人を足せばよいか」がすぐに分かります。
機能別に見る&VIGOの本部組織
加盟開発:本部社長自らが担う
&VIGOでは櫻井社長が加盟開発を担当しています。ブランドを立ち上げた思いやFC展開の狙いを、社長本人が直接伝えるのがいちばん響くからです。社長自身が加盟希望者を見極める入口になることで、ブランドに合ったオーナーが集まりやすくなる効果もあります。
店舗開発:難しい立地判断と内装ディレクションを社長が兼務
&VIGOは一等地でなくてもよい一方、食事や飲み会のあとの「2軒目需要」を拾える立地が求められるため、物件選びの難易度は低くありません。さらに、飲食未経験のオーナーは、あのおしゃれな店をどう内装業者に伝え、どんな段取りで作ればよいか分かりません。そこで社長が物件選定から内装のディレクションまで担い、秘書役のカナ氏が補佐しています。
SV:「オーナー向け」と「スタッフ向け」を分ける
SVは渡部副社長が統括し、女性SV2名が最前線で各9店舗を担当しています。&VIGOでは加盟オーナーの多くが男性で、店舗でパフェを作るのは主に女性スタッフです。そのため、スタッフの運営支援は女性SVが、オーナーへの経営面の支援は渡部副社長が担うという役割分担になっています。スタッフにとっても、同性のSVのほうが相談しやすいという利点があります。
バックオフィス・セントラルキッチン・商品開発
バックオフィスはカンナ氏が担い、研修や店舗サポート、セントラルキッチンの管理まで兼ねる守備範囲の広い存在です。18店舗の段階でセントラルキッチンを持つFC本部はまずなく、未来の加盟店のための大きな先行投資だといえます。商品開発はパティシエの相澤氏が担当し、毎月の新メニューで加盟店の集客を支えるとともに、作り方のレクチャー動画を共有するなど、実質的にSVの役割も果たしています。
「健全な急拡大」を支える3つのポイント
&VIGOの本部組織から学べるのは、人数の多さではなく、適材適所と拡張しやすい骨格です。
1. 性格と適性に合わせて役割を決める
フットワークが軽く誰からも好かれる櫻井社長が加盟開発と店舗開発を、冷静で分析型の渡部副社長がSV統括を担っています。仮にこの2人の役割が逆だったら、ここまでの拡大はなかったかもしれません。2人はフランチャイズオーガナイザー養成講習でそれぞれ6期・7期の首席を務めており、本部運営を体系的に学んだうえで、互いの適性を見極めて役割を決めています。
2. 「体育会系」の人材で立ち上げ期を乗り切る
拡大中のアーリーステージの本部は、体力も気力も必要なタフな現場です。&VIGOの本部はSV2名、カンナ氏、相澤氏と女性メンバーが中心ですが、櫻井社長はそうした環境に耐えられる体育会系の人材を意識して採用しています。本部組織の特徴を一言で表すなら「体育会系」です。
3. 18店舗の時点で「100店舗の組織図」が描ける
社長1人で加盟開発もSVも兼ねる本部は、100店舗になったときの支援体制が想像しにくいものです。&VIGOは18店舗の段階で機能ごとの担当者がそろっているため、拡大時は社員を採用して育成し、既存の担当者の下に配置するだけで済みます。本部の成熟度と加盟開発のスピードは釣り合わせるのが原則ですが、この基盤がある&VIGOは、さらにアクセルを踏んでも加盟店を困らせない体制だといえます。
100店舗時の本部組織シミュレーション
動画では、&VIGOが100店舗に達したときの組織像を、フリグマ佐々木翔の私見として描いています。結論は、主に店舗開発とSVを増員すれば、今のメンバーを軸に100店舗体制を実現できるというものです。
| 本部機能 | 18店舗の現在 | 100店舗時のイメージ |
| 加盟開発 | 櫻井社長 | 櫻井社長が継続(オーナーの見極め役として) |
| 本部統括 | — | 渡部副社長が本部全体を指揮するオーガナイザー役へ |
| 店舗開発 | 櫻井社長(兼務) | 専任者を1〜2名育成 |
| SV | 統括1名+担当2名(各9店舗) | 担当1人あたり約15店舗とし、4名ほど増員 |
| バックオフィス | カンナ氏 | カンナ氏が継続 |
| セントラルキッチン | カンナ氏+相澤氏 | 2名体制を継続 |
| 商品開発 | 相澤氏 | 相澤氏を中心に渡辺副社長がフォロー |
SV1人あたりの担当店舗数を先に決めておくと、店舗数の目標から必要な採用人数を逆算できます。
自社でFC本部組織を立ち上げる5つのステップ
- 必要な本部機能を洗い出す:加盟開発・店舗開発・SV・バックオフィスの4機能に、自社業態に固有の機能(製造、商品開発など)を加える。
- 機能ごとに責任者を1名決める:少人数で兼務してもよいが、「誰の担当か」が曖昧な機能をつくらない。
- 適性で役割を割り振る:人と会う役割はフットワークの軽い人に、管理・統括は冷静で分析型の人に任せる。
- 支援の対象を分ける:加盟オーナーへの経営支援と、店舗スタッフへの運営支援を別の担当にする。
- 増員の型を決めておく:SV1人あたりの担当店舗数などの基準を持ち、店舗数に応じて採用・育成する。
立ち上げ前のチェックリスト
- 6つ前後の本部機能それぞれに責任者がいる
- 加盟開発の場で、ブランドの思いを語れる人が対応している
- 未経験オーナーの物件選定や内装づくりを本部が支援できる
- SVの担当店舗数の上限が決まっている
- 100店舗時の組織図を描ける
- 本部の成熟度に見合ったペースで加盟開発を進めている
よくある質問(FAQ)
Q. FC本部の加盟開発は、社長が担当すべきですか?
立ち上げ期は社長が担うのがおすすめです。ブランドへの思いを直接伝えられるうえ、ブランドに合うオーナーかどうかを社長自身が見極められます。&VIGOでは、100店舗規模になっても社長が加盟開発を続ける形が想定されています。
Q. SVは1人あたり何店舗まで担当できますか?
業態や支援内容によりますが、&VIGOの例では現在1人9店舗を担当しており、100店舗時は1人約15店舗が目安とされています。25店舗では負荷が大きすぎるという見方です。
Q. 少人数の本部で、全機能をそろえる必要はありますか?
専任者をそろえる必要はありませんが、機能ごとの責任者は決めておくべきです。&VIGOも一人が複数機能を兼務していますが、担当が明確なため、拡大時に増員すべき機能がすぐに分かります。
Q. 店舗数が少ない段階でセントラルキッチンを持つべきですか?
大きな先行投資になるため、どの本部にも当てはまるわけではありません。&VIGOの場合は、職人がいなくても品質を保てる仕組みと、未経験オーナーでも開業しやすい環境を早期に整えることが、急拡大を支える土台になっています。
まとめ:拡大のアクセルを踏めるのは、組織の骨格がある本部だけ
&VIGOは、出店18店舗の段階で6つの本部機能すべてに責任者を置き、適性に合わせて役割を分担しています。この骨格があるからこそ、100店舗に向けて必要なのは店舗開発とSVの増員と育成だけ、という見通しが立ちます。
FC本部の立ち上げを検討している企業は、まず自社に必要な本部機能を洗い出し、それぞれの担当者を決めることから始めてみてください。そのうえで「100店舗になったら誰が何を担うか」を一度描いておくと、加盟開発のスピードを上げてよいかどうかの判断材料になります。

